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食後血糖測定のすすめ

はじめに

 

普段の生活で血糖値を気にされたことがありますか?健康診断では朝食を摂らずに検査をうける空腹時血糖が測定されますし糖尿病で定期通院されているかたも食事を摂らないで採血を受けている場合が多いと思います.まして糖尿病に罹病していない予備軍のかたが食後に血糖がどのくらい上昇しているのかを意識することはほぼないと思います.今回は「食後血糖測定のすすめ」と題してお話したいと思います.

 

血糖の上下動について

 

インスリンはすい臓から分泌されるホルモンで血糖値を調整するはたらきがあります.

食事をすると糖が吸収されて血糖値が上がりますがインスリンが分泌されると血糖値がさがります.健常なかたでは血糖値は70mg/dl~139mg/dlの間で上下します.食後にインスリンが分泌されるタイミングが遅れたり,インスリンの働きが効きにくくなると食後の血糖値が140mg/dl~199mg/dlと上昇してしまいます.糖尿病予備軍の状態です.

 

隠れ糖尿病にご注意を

 

糖尿病のかたではインスリンの分泌が少なからず障害されています.糖尿病予備軍のかたではインスリンの分泌障害は軽度でもインスリンの働きが効きにくくなるために食後血糖が正常範囲から外れて上昇してしまいます.そのため糖尿病予備軍のかたは空腹時血糖値が正常でも食後血糖値が140mg/dl~199mg/dlと大きく上昇してしまうのです.通常の健康診断では空腹時血糖を測りますので予備軍では正常域です.糖尿病予備軍をみつけるためには食後血糖を測ることが大切です.症状がなく食後血糖を測定する機会が少ないことから糖尿病予備軍は隠れ糖尿病ともいわれています.

 

血糖スパイク(急激な血糖上下動)の影響

 

糖尿病予備軍のかたは食前の血糖値は正常である場合がほとんどなので食後血糖値が上昇する分だけ血糖の上下動が大きくなります.急激な血糖の上下動を血糖スパイクと呼びます.

血糖スパイクは酸化ストレスを引き起こします.酸化ストレスとは酸化反応によって起こる有害な作用で細胞の老化にかかわってきます.脳細胞に酸化ストレスが加わると細胞死が生じます.脳細胞の老化は認知症として現れます.血糖の上下動が大きいほど認知機能が低下するというデータ結果がでています.また血糖スパイクの影響は血管や心臓にもあらわれます.食後血糖値が高いかたは心臓病や心筋梗塞発生のリスクが高いことがわかっています.

 

まとめ

 

このように糖尿病予備軍では食後血糖が上昇するために血糖の上下動が大きくなりからだにとってさまざまな悪影響が生じます.隠れ糖尿病をみつけるためには空腹時血糖だけではなく食後血糖をはかることが大切です.特に肥満のかた,近親者に糖尿病になった人がいるかた,朝食を摂らないかた,早食いのかた,運動不足のかたは食後血糖上昇のリスクが高いとされています.リスクが高いと思われるかたは是非食後にクリニックを受診されて食後血糖測定をうけることをおすすめいたします.次回は「自分の血糖値を調べる方法」と題してご紹介したいと思います.

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