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逆流性食道炎のおくすりについて

はじめに

 

胃のなかの酸が食道へ逆流することによって逆流性食道炎がおこります.逆流性食道炎の治療には生活習慣を改善する方法とおくすりによる治療にわけることができます.脂っこい食事をたくさん摂取したり夜遅い時間に食事を摂ってすぐに横になると逆流性食道絵がおこりやすくなります.こうした習慣を改善することが大切です.一方おくすりにはいくつか種類があります.今回は逆流性食道炎のおくすりについて紹介したいと思います.

 

胃酸を抑えるおくすり

 

胃酸を抑えるおくすりにはこれまでヒスタミンH2受容体拮抗薬とプロトンポンプ阻害薬がありました.ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)とは胃酸を分泌する細胞にあるヒスタミンH2受容体にはたらき胃酸の分泌の信号が伝わるのを防いで胃酸の分泌を抑制します.一方プロトンポンプ阻害薬(PPI)は胃酸を出す細胞にプロトンポンプという胃酸を分泌する仕組みがあってその作用を抑えることで胃酸の分泌を抑制します.H2ブロッカーに比べて胃酸を抑える力が強い特徴があります.

 

あたらしい胃酸を抑えるおくすり

 

従来のプロトンポンプ阻害薬とは異なる仕組みでプロトンポンプの作用を阻害するおくすりが登場し注目されています.ボノプラサン(P-CAB: カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)と呼ばれておりPPIは酸と出会うと活性体に変化しますがP-CABは最初から活性体なので効果の発現がはやい特徴があります.また半減期がPPIは2時間ですがP-CABは7時間と長いのでPPIは朝のむと夜には血中には存在しなくなりますがP-CABは1日1回のめばいつも血中に薬剤が存在している状態となり効果が持続します.新しいくすりなので長期間の服用に関しては注意が必要です.

 

消化管の運動機能を改善するおくすり

 

食道の動き(食道蠕動)を回復させて逆流した胃酸を胃に押し戻すはたらきと胃の運動を改善して胃からの排出を促進する働きがあります.糖尿病の患者さまでは消化管の蠕動運動が低下している場合が多いので消化管のはたらきを促進させるおくすりは有効です.そのほかには食道の粘膜を保護するおくすり(粘膜保護薬)や胃酸を中和するおくすり(制酸剤)を用います.

 

まとめ

 

逆流性食道炎の治療には生活習慣を改善する方法とおくすりをのむ方法があります.おくすりには従来のおくすり(H2ブロッカーやPPI)のほかに新しいおくすり(P-CAB)が登場しています.これまでのおくすりの治療で症状が改善しなかった患者さんにも効果がみられています.逆流性食道炎の治療にはいろいろな選択肢があります.新しいおくすりを含めて医師に相談してみるとよいと思います.

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