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血糖変動を調べる方法

はじめに

 

食事の内容や量,運動やストレスなどさまざまな要因によって血糖は1日の中で変化しており「日内血糖変動」と呼ばれています.糖尿病のかたは膵臓からのインスリンの分泌が低下しており食後の血糖がより上昇しやすい状態になっています.また血糖を下げるおくすりをのんでいたりインスリン注射をうっているかたはおくすりやインスリン注射の影響で血糖が下がりすぎる低血糖を起こす危険があります.糖尿病のかたにとって「血糖変動」を知り治療に役立てることは重要な意味を持ちます.今回は血糖変動を測定する方法についてご紹介したいと思います.

 

自己血糖測定(SMBG)のデメリット

 

血糖モニタリングのなかでも最も長く広く用いられている自己血糖測定(self monitoring of blood glucose ;SMBG) ですが穿刺の際の痛みや時間軸のなかで点で測定するために血糖変動がわからないなどのデメリットがあります.そうしたデメリットを補う血糖測定の方法として持続血糖モニタリング(CGM)やフラッシュグルコースモニタリング(FGM)が近年開発されて普及してきました.自己血糖測定については前回ブログ2021/09/15「自分の血糖を調べる方法」もご参照ください.

 

持続血糖モニタリング(CGM)

 

持続血糖モニタリング(continuous glucose monitoring ;CGM)は皮下組織に留置したセンサーで間質液中のグルコース濃度を測定することで血糖変動の全容をみつけることができる機器です.CGMは記録したデータをたどってみるレトロスペクティブCGMと今現在の血糖値をみることができるリアルタイムCGMの2種類に分けられます.レトロスペクティブCGMでは10〜14日間血糖を測定することができるので平日と週末の血糖変動の違いも調べることができます.リアルタイムCGMでは短時間の血糖変動を患者さまご自身が把握することができるので食後の高血糖に対してインスリン製剤の単位数を変更することが可能となります.

 

フラッシュグルコースモニタリング(FGM)

 

フラッシュグルコースモニタリング(flash glucose monitoring ;FGM)は近距離無線通信を使ってセンサーの上部にリーダーをかざす(スキャンする)ことでそのときの皮下グルコース値を知ることができるCGMデバイスです.実際に血液を採取して調べる必要はありませんので非侵襲的に何度も確認ができることは大きなメリットです.おもに患者さま自身が自分で血糖を確認しながら使用する機器と2週間の血糖を測定することができる機器があります.後者の機器ではセンサ内に2週間の血糖データを記録することができますのでいわばノータッチで家庭生活を送ることができます.

 

まとめ

 

医療機器の進歩はめざましく血糖をモニターする機器が続々とリリースされています.血糖変動をしらべる機器も持続血糖モニタリング(CGM)やフラッシュグルコースモニタリング(FGM)が登場し普及することで血糖値を点から線で確認することができるようになり患者さまご自身が「血糖変動」をしらべることができるようになりました.今後血糖変動をどのように治療に活用していくのかが重要なテーマになると考えられます.次回は「血糖変動のデータをどのように治療に役立てていくのか」と題してご紹介したいと思います.

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